後遺障害等級の認定

1.後遺障害等級認定の手続

交通事故で、後遺障害が残った場合、自賠責保険における後遺障害等級の認定が必要になります。主治医に後遺障害診断書を書いてもらい、自賠責保険における後遺障害等級の認定を受けることになります。

申請の方法は、被害者が自賠責保険会社に対して請求する方法(被害者請求)と、加害者が加入する任意保険会社を通じて行う方法(事前認定)があります。2つの方法は、被害者にとって申請の受付窓口が異なるだけであり、その後の処理は実質的に同じです。

被害者が提出した後遺障害診断書は損害保険料率算出機構が全国に設置している損害調査事務所において調査され、後遺障害等級の認定がなされます。

2.共済組合の自賠責共済の場合

JA共済の自賠責共済は、JA共済自体が後遺障害等級の認定を行い、その他の共済組合の自賠責共済は、損害保険料率算出機構の調査事務所が後遺障害等級の認定を行っています。

3.後遺障害等級認定の判断基準

自賠責法16条の3第1項は、「保険会社は、保険金等を支払うときは、死亡、後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払基準に従ってこれを支払わなければならない。」と定めており、その支払い基準は、後遺障害による損害は、自動車損害賠償保障法施行令第2条及び別表第2に定める等級に該当する場合に認め、等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定基準に準じて行うとしています。

そのため、交通事故における後遺障害等級認定についても、労災補償の障害認定基準に従って障害等級認定が行われます。

4.後遺障害等級表

等級 後遺障害
第1級
  1. 両目が失明したもの
  2. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  3. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  5. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
  6. 両上肢の用を全廃したもの
  7. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
  8. 両下肢の用を全廃したもの
第2級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 両眼の視力が0.02以下になったもの
  3. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  5. 両上肢を手関節以上で失ったもの
  6. 両下肢を足関節以上で失ったもの
第3級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼または言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失ったもの
第4級
  1. 両眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失ったもの
  4. 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
  5. 1下肢をひざ関節以上で失ったもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
第5級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部の臓器に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 1上肢を手関節以上で失ったもの
  5. 1下肢を足関節以上で失ったもの
  6. 1上肢の用を全廃したもの
  7. 1下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失ったもの
第6級
  1. 両眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 咀嚼または言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  4. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することのできない程度になったもの
  5. 脊柱に著しい変形または運動障害を残すもの
  6. 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  7. 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  8. 1手の5の手指または親指及び人差し指を含み4の手指を失ったもの
第7級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  3. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  4. 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
  7. 1手の5の手指またはおや指を含み4の手指の用を廃したもの
  8. 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
  9. 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すも
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失ったもの
第8級
  1. 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
  4. 1手のおや指を含む3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
  5. 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  8. 1上肢に偽関節を残すもの
  9. 1下肢に偽関節を残すもの
  10. 1足の足指の全部を失ったもの
第9級
  1. 両眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 1眼の視力が0.06以下になったもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの
  4. 両目のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  8. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  9. 1耳の聴力を全く失ったもの
  10. 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 1手のおや指を失ったもの又はおや指以外の2の手指を失ったもの
  13. 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
  14. 1足の第1の足指を含み2以上の用を失ったもの
  15. 1足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級
  1. 1眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
  6. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  7. 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
  8. 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
  9. 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
  10. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能傷害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  6. 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  7. 脊柱に奇形を残すもの
  8. 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
  9. 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級
  1. 1眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの
  2. 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 7歯以上に歯科補綴を加えたもの
  4. 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
  9. 1手のこ指を失ったもの
  10. 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  11. 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
  12. 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  14. 外貌に醜状を残すもの
第13級
  1. 1眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  6. 1手のこ指の用を廃したもの
  7. 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
  8. 1手の人差し指の指骨の一部を失ったもの
  9. 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
  10. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
  11. 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指の以下の3の足指の用を廃したもの
  12. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第14級
  1. 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  4. 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
  7. 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
  8. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの

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