半月板を交通事故で損傷した場合(交通事故による半月板損傷)

  交通事故にあった場合、自動車の車内で足をぶつけたり、自転車やバイクから投げ出されて路面に足を打ち付けたりや、転倒した際にバイクに足を挟まれるなどして、足に大怪我を負う場合があります。そのような足の怪我の中で、交通事故によって負うことのある損傷として、半月板損傷があります。半月板は加齢により変化することもあり、被害者の年齢や治療経過などから、半月板損傷が交通事故と因果関係があるか争われることがあります。

1 半月板

  半月板は、膝関節と大腿骨と脛骨の間に位置し、三日月型をしている軟骨組織です。膝の内側と外側に一つずつあります。半月板は、膝関節を安定させたり、膝関節への衝撃を和らげるクッションの役割を果たしています。

  半月板は、膝の回旋あるいは内外反に急な伸展が加えられたときに、過度の剪断力により損傷します。中年以降では、加齢による変性(擦り切れる等)のために、軽微な外力が加わったことで損傷することがあり、交通事故との因果関係が問題となります。

2 検査

  半月板損傷は交通事故との因果関係が問題となるために、早期に必要な検査をしなければなりません。

(1)Ⅹ線撮影

  単純Ⅹ線像での診断では困難です。ですから、Ⅹ線撮影で問題がないとして、必要な検査をやめてはいけません。

(2)MRI

  半月板損傷について有用な検査がMRI撮影です。半月板断裂や変性があれば、その部位は高信号となります。断裂(損傷)部の異常信号の程度の評価として、Minkの分類が使われることが多いです。

grade

評価

 

0

正常

均一の低信号

1

変性

関節内に達しない半月板内の点状信号

2

変性

関節内に達しない線状信号

3

断裂

関節面に達する信号

(3)注意

 MRIは、半月板損傷について有用な検査ですが、100パーセントではありません。McMurrayテストや、Apleyテストなどの理学的所見や、経過的な診断も重要です。

①McMurrayテスト

 膝・股関節を最大に屈曲させた状態で、膝を伸展させながら、下腿を内外旋させた際にクリック音や疼痛を誘発できれば、半月板損傷について陽性です。

②Apleyテスト

 腹ばいになりながら、膝を90度屈曲した状態で半月板に圧をかけたときに疼痛が誘発されれば陽性です。

3 半月板損傷による後遺障害

  半月板は損傷すると治癒が難しい部位です。後遺障害が残存した場合、以下のような可能性があります。

(1)神経症状

  半月板損傷の治療を続けたが、もはや治療しても意味がない状態になった場合には症状固定となります。このとき、痛み等が残存しておれば、自賠責後遺障害等級14級9号や12級13号の可能性があります。

(2)可動域制限

  半月板損傷によって膝関節が動かなくなり松葉絵杖の状態になった場合には、その膝の可動域制限の程度により後遺障害が認定されます。当事務所が扱ったものでも、自賠責後遺障害等級12級7号になるかで争ったものがあります。

4 半月板損傷に関する裁判例

(1)東京地裁平成21年8月31日判決(平成20年(ワ)7177号)

  東京地裁平成21年8月31日判決は、交通事故と半月板損傷との因果関係が問題になった事案です。自賠責では非該当になりましたが、上記東京地裁は、治療経過、事故態様や被害者が交通事故直後からずっと膝の疼痛を訴えていたことなどから、交通事故と半月板損傷との因果関係を認め、後遺障害12級7号を認めました。

 また、労働能力喪失率を14パーセント、労働能力喪失期間を就労可能年数である14年として後遺障害逸失利益を計算しています。

(2)東京地裁平成9年5月28日判決(交民30巻3号778頁)

  東京地裁平成9年5月28日判決は、交通事故で、右足関節外側靭帯断裂、右膝関節捻挫、右足内側半月板損傷の傷害を負い、後遺障害の内容・程度が争いになりました。上記東京地裁は、原告に主張する関節機能障害は認めませんでしたが、半月板損傷等が原告の神経症状の他覚所見であるとして、後遺障害12級7号、労働能力喪失率14パーセント、労働能力喪失期間を就労可能年数である37年間と認定しました。

(弁護士中村友彦)

 

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