交通事故にあうのは、成人した大人に限られません。自動車を運転できるようになるのは18歳からですし、自動車を運転しなくても、歩行者として交通事故にあうこともありますし、自転車による交通事故も考えられますから、未成年の子供であっても、交通事故の被害者になることは十分にありえます。
未成年の子供が、交通事故の被害者になった場合、当然加害者に対して損害賠償請求権を持ちますが、原則、未成年の子供は単独で加害者に対して損害賠償を請求することができません。民法818条は20歳未満の子は、父母の親権に服すると定めており、行為能力が制限されるからです。したがって、未成年の子供にかわって損害賠償等をする人が必要となります。
1 両親が行う方法
通常であれば、親権者である両親が法定代理人として共同で損害賠償請求や示談を行います。離婚や死別により、他方の親がいない場合は、もう一方の親が行います。
2 未成年後見人が行う方法
両親がいないといった事情がある場合は、未成年後見の選任を求める申立てを未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。大阪であれば、谷町にある大阪家庭裁判所、堺支部や岸和田支部に申し立てを行うことになります。申立は、親族その他の利害関係人がすることができます。未成年後見人になるのは、親族等の場合もありますが、弁護士がなることもあり、裁判所が審査のうえ選任します。
上述で、「原則、未成年の子供は単独で加害者に対して損害賠償請求できない」としたのは、法定代理人の同意があれば未成年は法律行為ができますし、未成年者が婚姻をした場合は、20歳に満たない場合でも婚姻による成年擬制として成年に達したものとみなされるからです(民法753条)。成年に達したものとみなされるということは、単独で交通事故で被った損害の損害賠償や示談をすることができるということになります。(弁護士中村友彦)