弁護士井上元の交通事故体験記

1.先月、交通事故に遭いました。

といっても、自動車を運転中に赤信号で停車中していたところ、後ろから自動車でドンと追突されたというもので、特に怪我もありませんでした。

日頃、交通事故に遭われた方からのご相談にのっていますが、いざ自分が交通事故を体験してみると、いろいろ気付いたことがありましたので、経過をご紹介しましょう。

2.事故に遭ったのは平日の午前9時30分頃、自動車を運転していたところ、前方の信号が赤信号に変わったので、ブレーキを踏んで停車しました。急ブレーキをかけたわけではありません。すると、数秒後、後ろから自動車でドンと追突されたのです。

後ろの自動車から運転手の方が降りてこられ、「ブレーキが間に合わなかった」とのこと。

私は、とりあえず110番に電話をして警察が来るのを待ちました。

15分程して警察官が来てくれました。自動車の状況を見ると、私の自動車は後部バンパーが凹み、トランクも歪んでしっかり閉じません。

その後、双方から事情聴取です。免許証、車検証、自賠責保険証書を見せ、住所、氏名、電話番号、職業、事故の状況などを聞かれました。ちなみに、私の自動車は1週間程前に車検を済ませたばかりです。警察から、「人身事故か物損事故のどちらにしますか?」と聞かれ、大丈夫そうではありましたが、動悸がおさまらず、若干のめまいもしましたので、一応、人身事故として届けました。

3.警察官は、「通報があったのは、9時31分頃ですから、事故はだいたいその5分前位ですね?」と言いますので、「違います、1分程で電話しましたので、事故は9時30分頃です」と言うと、警察官は「普通は通報まで5分位かかりますので、事故は9時25分位にしてきましょう」と言います。私が9時30分頃だと説明しているのに、警察は適当に記載しようとしますので気をつける必要があります。

4.加害者の方は高齢で、体調が悪くなったので、会社から自宅に帰る途中とのこと。警察は、警察から相手の方の住所、氏名は教えないので、直接、氏名や連絡先を確認するようにとの指示があり、双方、連絡先をやり取りしました。

私は、事務所に連絡してもらうのが一番便利なので、名刺を渡し、連絡は事務所までいただくようにお願いしました。

ところが、相手の任意保険の会社を聞くのを忘れていました。後で気づいたことですが、相手方の任意保険会社を必ず聞き、直ぐに、任意保険会社に連絡するよう依頼すべきでした。

5.特に痛いところはありませんでしたが、動悸がおさまらず、めまい、吐き気もしてきましたので、その後直ぐ、念のため脳神経外科に行きました。支払いは健康保険を使おうと思いましたが、事務長さんらしき方が出てこられ、「交通事故なので健康保険は使えません」と言います。私は、常々、「治療費については必ず健康保険を使ってください」と言っていますので、当然、ここでも「健康保険を使います」と主張しました。しかし、事務長さんらしき方は「加害者側の保険会社から支払われますので、健康保険は使わないでください」と強硬に言われ、押し通されました。事務長さん鉄壁のガードです。私としては、こちらは治療を受ける身であり、なかなか強く出ることができません。

このような場合に健康保険を使うことがいかに困難か、身を持って知りました。事故の被害者の方が健康保険を使わなかったことで非難してはいけません。

6.病院では念のためレントゲンとMRIを撮ってくれました。幸い頸椎などには異常はなく、首の筋肉のところが少し白くなっていましたので、塗り薬が処方されました。2~3日で何もなければ大丈夫だろうとのことであり、実際、その後、どこも悪くなりませんでしたので、治療は終了です。

交通事故に遭われた方にとって重要なのは、少しでも体調が悪ければ直ちに病院に行き、検査、治療をしてもらうことです。

7.診察後の治療費支払いの段階で少し大変でした。相手の方から聞いていた自宅に電話をして、任意保険会社に連絡してもらったか聞いたところ、保険証券は会社に置いていて、どの保険会社か分からないというのです。事故から3~4時間程経過していますが、まだ、保険会社に連絡すらしてくれていないのです。高齢の方であり、何もしてくれていません。病院は加害車両の保険会社に確認が取れない以上、私に支払いを求めてきます。自分で支払って、後で保険会社から支払ってもらってもいいのですが、請求書を書く必要があったりして、はっきり言って面倒です。そこで、任意保険会社の名前を聞き、自分で連絡先を調べ、保険会社に連絡しました。ところが、加害者から保険会社に連絡がなく、保険会社は事故の確認ができないので対応できないとのこと。加害者宅に電話をしても応答がありません。やっと連絡がとれましたが、「任意保険に入っていないかもしれない」とのこと。

8.このようなやり取りをしていると、加害者の方の息子さんから電話があり、任意保険の会社を変更していたことが判明。息子さんが父親から先ほど事故を起こしたことを聞いたばかりであり、直ぐ、保険代理店に連絡したとのこと。この時点で、事故から既に4~5時間経過しています。この間、先方は何も対処してくれていなかったのです。

保険代理店に連絡したとのことでしたが、直接、保険会社に連絡した方が早いので、連絡先を聞き、私が自分で保険会社に電話をして、病院に確認してもらおうとしました。しかし、保険会社の窓口では「まだ、担当者が決まっていないので、応対できない」とのこと。保険会社の窓口では埒があかないので、担当部署の連絡先を聞き出し、ここへも私が直接連絡し、交渉して、なんとか病院と確認をとってもらい、無事、保険会社から病院に直接支払ってもらうことになりました。ここまでで事故からおよそ6時間。大したことはないとはいえ、未だ動悸、めまい、吐き気がおさまらず、なんで被害者の自分がここまでやらなければならないのかと思った次第です。

9.翌日、任意保険会社の担当も無事決まり、あとは自動車の修理です。週末に自動車をトヨタに持ち込み、1週間後、修理ができたとのことで、取りに行きました。ところが、トランクを開けたときに、ボコッという違和感があります。中を見せてもらうと、フレームが若干歪んでいます。そこで、止む無く、修理をし直してもらうことにしました。

1週間後、自動車を取りに行き、トランクを確認すると、1週間前よりはだいぶ違和感はなくなっていますが、やはりなんとなく違うような、違わないような。一度壊れたものは、修理しても完全には元に戻らないということでしょうか。これ以上はトヨタの方にご迷惑をかけますので、自動車を引き取って帰りましたが、どうしても釈然としない気持ちは残ります。

10.加害者の方からは、事故の数日後、私の携帯電話に連絡があっただけで、それ以外、本人はもとより息子さんからも何の連絡もありません。高齢の父親に、自分が経営する会社名義の自動車を使用させていたのですから、息子さんにも責任があるはずですが、残念なことに謝罪は全くありません。

11.今回の事故により私が得た教訓を整理してみます。

① 警察の記録は、警察官の思い込みにより、自分の説明とは違った記載がなされてしまう可能性があります。自分の説明とおり正確に記録してもらいましょう。

② 警察は、事故当事者の連絡先を教えてくれませんので、相手の氏名、住所、電話番号、職業など自分で確認しましょう。

③ 人身事故、物損事故にかかわらず、加害者側の任意保険会社をできればその場で聞き出し、加害者から任意保険会社に直ちに連絡してもらいましょう。

③ 少しでも身体の調子がおかしいと思ったら、直ちに病院に行って診察を受けましょう。調子の悪いところは全て医師に述べ、できれば、レントゲンだけではなく、MRIも撮ってもらいましょう。後から病院に行っても、加害者側の保険会社から事故とは関係ないと主張されるかもしれません。

④ 病院ではなるべく健康保険を使うべきですが、病院は簡単には健康保険を使わせてくれません。当日は無理でも、速やかに、健康保険に切り替えましょう。

⑤ 身体が一度傷つけば完全には元に戻りません。自動車も一度壊れれば完全には元に戻りません。分かっていても被害者としては釈然としない気持ちが残ります。

⑥ 自分が加害者となってしまった場合、被害者の被害の程度が軽かったとしても手土産でも持って謝罪に行きましょう。いかに任意保険会社が費用を負担してくれたとしても、病院に行ったり、何度も修理工場に行ったりして手間がかかり、代車で不自由な思いもするわけです。謝罪の一つもなければ、とことん争おうかという気持ちにもなり、解決が長引きます。

⑦ 高齢の方は免許証を返上するか、自動車を運転するのを止めましょう。最近のことですが、赤信号で停車中、80歳過ぎの高齢者の運転する自動車に高速度で後ろから激突されたという案件を扱いました。高齢者の運転は危険です。

(弁護士 井上元)

    

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