交通事故にあった場合、通院のためにかかる交通費で損害賠償として請求できるものは、公共交通機関の利用にかかった運賃、自家用車を使用した場合のガソリン代に限られません。したがって、交通に関して支出したことを示すものは保管しておく必要があります。
1 駐車場代・高速道路利用代
必要かつ相当な範囲で認められます。東京地裁平成23年2月8日判決(自保ジャーナル1849号125頁)では、「事故当日であることや 症状等に鑑みるとタクシーを利用すること、原告の車を保管するために駐車場を利用し、高速料金を支出することはやむを得ないと考えられるから、タクシー代660円、高速代1300円及び駐車場代1600円の合計3560円は本件事故と相当因果関係のある損害と認めることができる」として、交通事故による損害として認めています。
但し、あくまで必要かつ相当な範囲であり、通院する必要がない、治療の必要性がなかったような場合は、損害として認められません。前記東京地裁判決でも、「○○○での施術が必要かつ相当であったとは認め難いことは前記のとおりであるから,○○○へ通うための高速代や駐車場代が本件事故と相当因果関係のある損害ということはできない」として、交通事故による損害として認めていません。
2 その他
また、交通事故の被害者以外である近親者の付き添い・見舞いのための交通費や宿泊費も請求することができる場合があります。(弁護士中村友彦)