交通事故により代車を使用し、代車を借りる等して代車料を支出した場合、支出した代車料の全額とは限りませんが、交通事故による損害として賠償請求をすることができます。
現実的に代車を使用する必要があり、現実に使用した場合に認められ、被害者が他に車両を保有しているなど、代車使用の必要性がない場合や、代車を使用しなかった場合は、代車使用料相当額を交通事故による損害として賠償請求することはできません。
1 代車使用料として認められる額
事故車両と同種、同年式等の同程度の車両の代車使用料が認められますが、明確な基準はありません。事故車両が、外国車であっても、国産車を基準に代車使用料を計算することもあります。
2 例外的に代車料を支出していないが、代車使用相当額を損害として認めた例
代車の必要性があり、被害者が不便を強いられることになるとき、代車使用相当額を交通事故による損害として認めることができるかについて、原則はできません。但し、交通事故による損害として、例外的に認められた例もあります。
神戸地裁平成8年9月20日判決(交民29巻5号1413頁)では、「代車使用料は、車両が使用不能の期間に代替車両を使用する必要があり、かつ現実に使用したとき、相当な範囲内で認められると解するのが相当である。」としたうえで、「原告は、原告車の修理期間中、原告が使用できないため、原告が経営する会社所有の普通乗用自動車を使用していたのであるから相当の代車使用料が認められるというべきところ、右のレンタカー料金等を斟酌すると、原告主張の1日当たり5000円、合計23万円の代車使用料は相当な損害として是認できる」としました。あくまで、例外的な取扱いであり、通常のケースでは認められないでしょう。(弁護士中村友彦)