後遺障害により被害者が判断能力を失った時、成年後見申立に関する費用は損害と認められるか 

交通事故で、重度の後遺障害を負い、被害者が意思能力を失うといった状態になった場合、示談を行うのであれ、訴訟を行うのであれ、代理人が必要です。そのような場合に成年後見の手続きで法定代理人を選任したときにかかる費用が、交通事故の損害として認められるか争いになります。

1 成年後見制度

     認知症や精神障害等で判断能力が不十分な者は、自分の財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービス関する契約を結んだり、交通事故の加害者に対し損害賠償請求するといったことをするのが難しい場合があります。そのような場合、自分で判断する能力が不十分な者を保護するのが成年後見制度です。成年後見は、法定後見と任意後見の2種類があります。

2 大阪地裁平成17年7月25日判決(交民38巻4号1032頁)

     大阪地裁平成17年7月25日判決は、交通事故により脳挫傷等の傷害を負い高次脳機能障害が残るなどして後遺障害等級併合1級となった被害者が、判断能力が不十分になり保佐開始決定(法定後見の一種)をうけた事案です。上記大阪地裁判決は、保佐開始手続費用5万円を損害として認めました。具体的には、「原告X1は、本件事故による後遺障害により保佐開始決定を受けたが、その費用として5万円を要したことが認められ(甲57)、本件事故と相当因果関係のある損害といえる。」としました。

3 東京地裁平成19年2月14日判決(交民40巻1号213頁)

     東京地裁平成19年2月14日判決は、原告は、交通事故に起因する高次脳機能障害等の後遺障害のため、後見開始の審判を受けたものであり、その際、家事予納金として10万円を支出し、その全額が鑑定費用として使用されたものであるから、交通事故による損害として認めるとしました。

                                                                                                                        (弁護士 中村友彦)

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