死亡事故で被害者の相続人の一人が行方不明な場合(不在者財産管理人)

   交通事故により被害者が死亡した場合、相続が開始しますので、被害者が加害者に対して有していた損害賠償請求権を被害者の相続人が相続することになります。しかし、死亡事故が生じた時点で、被害者とその相続人が疎遠になっており連絡先が分からなかったり、示談交渉中に何らかの理由で相続人が行方不明になってしまうことがあります。疎遠になっているだけであれば、戸籍等を調べれば住所が分かりますが、記録上の住所地に実際には住んでいないこともあり、その場合には連絡をとることは困難です。

 他の相続人としては、行方不明の相続人のことは放置しておいて、自ら相続した分だけ請求して解決することはできますが、行方不明の相続人の分の損害賠償請求権が時効により消滅してしまう危険性があります。

1 不在者財産管理人

 親族だからといって、委任状がなければ損害賠償請求の手続きを代わりにすることはできません。しかし、放置しておくと不法行為による損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年で時効消滅しますし、交通事故の時から除斥期間20年を経過すると、損害及び加害者を知らなくても消滅してしまいます。

 そこで、このような場合のための制度として、不在者財産管理人制度があります。不在者財産管理人とは、従来の住所や居所を去り、容易に戻る見込みがない不在者の財産管理を行う者です。他の相続人などの利害関係人が、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる必要があります。不在者財産管理人は、行方不明になった相続人にかわり、損害賠償の示談交渉や訴訟提起を行います。

2 不在者財産管理人が管理する損害賠償金

 不在者財産管理人が、示談交渉や訴訟等で損害賠償金を回収した後、回収した損害賠償金を管理し、不在者が現れれば管理している損害賠償金を引き渡して任務を終了します。不在者が現れない場合でも、行方不明になってから7年すぎるなどしても状況がかわらなければ失踪宣告の申し立てを家庭裁判所に行うことになります。

  失踪宣告とは、不在者が死亡したものとみなして、相続を開始させることを可能にさせる制度です。失踪宣告が出されると、不在者財産管理人は、管理している損害賠償金を、不在者の相続人に引き渡して任務を終了します。

3 不在者財産管理人の報酬

 不在者財産管理人から請求があった場合、家庭裁判所の判断により、不在者の財産から支払われます。

 

  不在者財産管理人の選任の申立は面倒ですが、不在者財産管理人を選任しないまま事実上交渉等を行っても、後日権限がないとして無効だと主張される可能性がありますので、必ず選任申立をするべきです。当事務所が、不在者財産管理人の選任申立を受任する場合の費用は、応相談となりますので、一度相談してみてください。

(弁護士中村友彦)

 

 

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