被害車両に積荷等があり、交通事故で積荷等にも損害が生じた場合にどうなるか

交通事故により車両が損壊した場合、その修理費用や新車への買い替え費用は、物損事故として損害賠償の対象になります。しかし、交通事故当時、被害車両には、積荷等がある場合があり、積荷等も交通事故で壊れる等すれば損害賠償の対象になるか争いになります。積荷等が、交通事故を起こした加害者にとって、通常予見できないようなものであれば、相当因果関係がないとして損害ではないとされる可能性もあります。その他でも、積荷等が物理的に壊れていなくても商品として価値がなくなるといった損壊の態様によっても、交通事故の損害ではないと争われる可能性もあります。

1 名古屋地裁平成15年4月28日判決(交通民集36巻2号574頁)

     名古屋地裁平成15年4月28日判決は、平成9年8月4日に発生した交通事故により車に乗せていたバイオリンとバイオリンの弓が焼失した事案です。上記名古屋地裁は、「平成8年1月から3月までの間に、本件バイオリンを700万円、本件バイオリン弓を200万円で購入したこと、バイオリン、バイオリン弓の価格は、そのバイオリン、バイオリン弓自体の作者、音質、製作方法等で決められるものであり、年数の経過により価値が減少するものではないことが認められる。これらの事実によると、本件事故により本件バイオリン及び本件バイオリン弓が焼失したことにより合計900万円の損害が生じたと認められる。」として、購入した価格900万円分を交通事故による損害と認めました。

2 大阪地裁平成20年5月14日判決(自動車保険ジャーナル 1753号3頁)

        大阪地裁平成20年5月14日判決は、大型貨物自動車に筆ペン約16万本が積んであり、交通事故により物理的な損傷はないが、一般販売不可能とされた事案です。上記大阪地裁は、損害とは、物が交換価値を喪失したことを意味するところ、それは、物理的な損傷による場合のみならず、経済的にみて商品価値を喪失したと評価される状態となった場合をも含むものと解されるとして、物理的損傷がない以上損害がないとする被告の主張を排斥しました。さらに、一部の万年筆を他社Aに販売したことは、商品価値がないとすることと矛盾するとの被告の主張に対しても、上記大阪地裁は、「損害の拡大を防止するために、事故に遭った商品につき可能な限り売却、換価を図ることそれ自体は、企業として合理的な経済活動であって、何ら非難されるべきものではない」「A社は、損傷商品について特別の販売ルートを確保しており、そのようなルートで販売することを想定して、本件筆ペンのうち販売可能と判断した9万4650本を購入したものと認められる。」と認定したうえで、一部の筆ペンをA社に売却することは、何ら不合理でも矛盾するものでもないとして否定し、交通事故による損害となる結論に影響を与えないとしました。

                                                                                                                      (弁護士 中村友彦)

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