交通事故の加害者の親による連帯保証について

 自転車による交通事故で、加害者が未成年であることがあります。若くて体力がありますので、自転車の速度も速く、衝突により被害者が大けがをすることがあります。治療費や慰謝料等で、損害賠償金が高額となり、未成年では支払えず、個人賠償保険にも未加入で、被害者も困るということがあります。交通事故後の当初は、親がかわりに払う旨を述べていて交渉の窓口になっていても、時間の経過とともに、消極的になっていくことが多いです。このような場合、口頭ではなく、連帯保証の合意書を作成しておれば、後日、直接、加害者の親に交通事故の損害賠償請求をすることが可能になることがあります。

1 加害者が子供の場合の親の責任

 交通事故の加害者が未成年であっても、当然には親が責任を負うことにはなりません。交通事故を起こした未成年と親は別の人間ですから、親が未成年の起こした交通事故について責任を負うのは、子供に責任能力がない場合、親自体に過失がある場合や、親が連帯保証をしているようなケースになります。

2 加害者である子供に責任能力がない場合

 加害者である子供に責任能力(自分の行為の責任について、弁識するに足りる知能)がない場合、子供は民法709条の損害賠償責任を負いません。しかし、誰も損害賠償義務を負わないのであれば、交通事故の被害者は困ってしまいます。

 このような場合、民法714条1項本文では、「責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」としています。交通事故の加害者の親は、監督義務を怠らなかったことか、監督義務を怠らなくても損害が発生したことを証明しなければ、責任を免れません。自転車事故の事案で、責任能力がない子供の親が監督責任を免れた裁判例は、私が調べた限りでは見つかりません。

3 加害者である子供に責任能力がある場合

(1) 親に過失がある場合

 子供に責任能力があっても、親に監督義務違反があり、その違反と交通事故との間に因果関係がある場合には、民法709条で責任を負うことがあります。

 裁判例においても、子供が自転車を高速度で普段運転しており、それを知りながら放置していた東京地方裁判所平成19年5月15日(交民40巻3号644頁)では、自転車で交通事故を起こした子供の親の責任を認めています。上記東京地裁は「自転車を運転する被告Y1(子供のことです)に対して交通ルールを守って走行するよう注意し監督する義務があるというべき」「被告Y2ら(両親のことです)は,被告Y1が交通ルールを守らず,高速で自転車を運転していたことを知っていたものと考えられる。」そして,本件事故後の行動を見ると、「被告Y1の違法な運転行為によって傷害を受けた原告に対する配慮を欠いていることが明らかであり、こうした行動をとる被告Y2らは、被告Y1に対する監督義務を全く果たしていなかったものと推認し得る。交通ルールを守る意識のない者が高速度で自転車を運転することは極めて危険なものであることは自明のことであるところ、上記によると,被告Y2及び同Y3の被告Y1に対する監督義務違反と本件事故との間には相当因果関係があるものと解するのが相当である。」としています。

(2) 親が連帯保証をした場合

 交通事故が生じて、交渉が始まった当初だと、事故から日が近いこともあって、連帯保証の念書や合意書を作成してもらえるときがあります。作成過程に脅迫等がなく、任意であれば、有効なものとして、連帯保証の責任を追及できる可能性があります。

 裁判例においても、横浜地方裁判所平成元年6月27日判決(交民22巻3号727頁)は、連帯保証を定めた書面の作成により、親の連帯保証による責任を認めています。なお、この裁判例においては、民事上責任を負うものと誤解していたとの錯誤の主張や、警察に届けないことが条件であり、警察に届け出たので条件の不成就の主張がされていましたが、裁判所はいずれも排斥しています。

 

 なお、民放446条2項で、保証契約は書面によらなければ効力が生じないとされており、いくら口頭で保証するといっていても、強制することはできません。

 

 

(弁護士中村友彦)

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