中古車市場の存在しない車両(クラシックカー)の損害

 中古車両が交通事故で損傷を受けた場合、修理費用か、時価額と買替諸費用の合計額の低い方が認められます。時価額は、交通事故の時を基準とし、原則的に被害車両の同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得できる価格によって定めるとされています(最高裁判所昭和49年4月15日判決(交民7巻2号275頁))。そして、中古車市場価格は一般的にレッドブック等が参考とされます。

 ところが、交通事故にあう車両は、全て中古車市場で流通しているとは限りません。クラシックカーのような希少性の高い車両のような場合など、中古車市場が存在しませんので、損害額の算定が問題になります。

1 クラシックカーの該当性

 単に初年度から長期間が経過し、車両数が少なくなり、中古車市場が存在しないという事情だけでは、クラシックカーには該当しません。クラシックカーとして、希少性による客観的・経済的価値が存在することが必要になります。

 東京地方裁判所平成16年12月22日判決(交民37巻6号1760頁)でも、クラシックカーの該当性について、「一般に,古いこと自体がその価値を高めるクラシックカーのような特殊な車両や特に愛好者間で高額で取り引きされるような希少価値のある車両であれば格別,車両の経済的価値は登録年度からの経過年数,走行距離に応じて減少するというべきである。そして,初年度登録からの年数が長期間経過すれば,同型車両の登録台数は減少し,需要も減るため,取引事例が少なくなるのは当然であるが,それが車両の希少性による客観的価値を裏付けるものではないことは明らかである。したがって,そのような既に市場性の失われた車両について,当該車両の客観的・経済的価値を著しく上回る修理費を損害として認めるのは,公平を欠くものといわなければならない。原告車については,その車種が雑誌に紹介されているものの,クラシックカーとして登録年度からの経過年数がその価値を高めているような事情を認めるに足りる証拠はなく,また,現在の登録台数が少ないというだけで,希少性による客観的・経済的価値の存在を裏付ける証拠もない。」としています。

2 中古車市場のない車両の損害

(1) クラシックカーの場合

ア 大阪地方裁判所平成25年8月30日判決( 自保ジャーナル1912号119頁)

 クラシックカーの該当性について判断したものではありませんが、3000台のみが生産された1998年式ハーレーダビッドソン(誕生95周年記念限定モデル)についての損害が問題になった事案です。上記大阪地裁は、「原告が購入した価格以上の価格賠償を認めても、原告所有の客観的価値を回復させるという点で原状回復以上の利益を賠償したことにはならない」として、購入価格の100万円ではなく、事故時の時価額230万円の損害を認めています。

イ 広島高岡山支部平成8年5月30日判決(平成5年(ネ)345号)

 交通事故の被害車両がクラシックカーであることを認めましたが、クラシックカーの時価について、マニアらの評価は主観的な価値を多分に反映した価格であり、直ちに採用できないとして、修理担当者らの評価から時価額を算定しています。

(2) クラシックカーに該当しない場合

 上述した東京地方裁判所平成16年12月22日判決(交民37巻6号1760頁)は、クラシックカーに該当しないとしたうえで、「初年度登録からの年数,走行距離,類似車両の価格から,原告車の時価は新車価格の1割程度である65万円から大事に乗られている程度のよい車両であるなら100万円までと評価されていることからすれば,本件事故当時の価額は100万円を超えないものと認められる。そして,原告車の維持・保管の程度は不明であるため,時価が100万円を下回る可能性があるものの,原告車は,通常の使用は十分可能な状態であった上,経済的全損の場合,車両の時価そのもののみならず,買替えに伴う諸費用等を加えた金額を損害とすることを考慮すれば,本件事故による原告車の車両損害は100万円とみるのが相当である。」としています。

 

(弁護士中村友彦)

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