交通事故で腎臓に後遺障害が残存した場合

   オートバイに乗っていて交通事故にあい、背中側を道路に強く打ち付ける等の外傷によって圧力をうけて、腎臓が破裂することがあります。腎臓は、肝臓の後ろ側にあるので、腎臓が損傷を受けるような事故の場合、肝臓もあわせて損傷を受けていることがよくあります。交通事故の後に、腎臓がなくなってしまったり、異常が残存してしまった場合、後遺障害として評価されます。

1 腎臓の後遺障害一覧

 腎臓を失ったり、異常が残存した場合、自賠責保険ではその障害の内容・程度によって後遺障害の等級を分けています。

等級

後遺障害の内容

7級5号

腎臓を亡失し、GFRの値が毎分31ml~50ml

9級11号

腎臓を亡失し、GFRの値が毎分51ml~70ml

       or

腎臓を失っていないが、GFRの値が毎分31ml~50ml

11級10号

腎臓を亡失し、GFRの値が毎分71ml~90ml

       or

腎臓を失っていないが、GFRの値が毎分51ml~70ml

13級11号

腎臓を亡失し、GFRの値が毎分91ml~

2 腎臓

 腎臓は、左右一つずつありますので2つあります。自賠責保険の後遺障害で、腎臓を亡失したとは、片側で足ります。腎臓は様々な働きをしていますが、その主要な機能として、体内を流れる血液を糸球体で濾過してきれいにしたり、血液から取り除いた老廃物を体外に尿で排出しています。後遺障害の等級の基準とされているGFRとは糸球体濾過量を略したものです。GFRは、糸球体が1分間にどれくらいの血液を濾過し、尿をつくれるかを表しますので、腎臓の機能がどの程度かを計測することができます。

3 腎臓に関する裁判例

(1) 東京地裁平成13年9月28日判決(交民34巻5号1336頁)

    東京地裁平成13年9月28日判決は、交通事故により被害者は右第六、第七肋骨骨折、肝挫傷等の傷害を負い、入通院治療を受け、入院加療の経過中に慢性腎不全が急性に増悪し、人工透析導入の状態になった事案です。事故の前に腎機能の障害の症状があったことの労働能力喪失率への影響が問題になりました。上記東京地裁は、『原告には4、5年前から腎機能障害の症状があったところ、本件事故による負傷の治療中に機能障害が増悪したこと、その原因は造影剤の使用による負荷であると考えられること、本訴提起後、これらの症状について算定会の調査事務所による審査の結果五級三号の障害に該当すると判定されたところであるが、その結果将来にわたって血液の人工透析を受けるようになり、現に日々の生活でもろもろの不自由を来していることが認められる。そうであれば、原告は本件交通事故によりその稼働能力の相当部分を失うに至ったと認めるべきところ、従前原告に腎臓機能障害の症状があったからといって、喪失の程度を79%に達すると認めても公平を欠くとまではいえない。』として、自賠責の労働能力喪失率どおりに認めました。さらに、この東京地裁判決は素因減額も行っていません。

 (弁護士中村友彦) 

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