実態がない専従者給与は休業損害でどう扱うか

   交通事故で生じた休業損害では、給与所得者で休業損害証明書が出る人の場合は、それほど損害の算定に苦労しません。しかし、自営業者の場合には、確定申告をしている関係上、節税対策を行っているなどから赤字申告等の問題や、何が経費に当たるかといった問題など多様な論点があります。当然、論点が多くなければ、損害賠償の金額が一致せず、紛争になる可能性が上がります。その自営業者の休業損害の算定の際に問題になる論点の一つとして専従者給与の取り扱いがあります。

1 専従者給与

 生計を一緒にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に支払う給与のことです。これらの給与は原則として必要経費にはなりませんが、一定の要件を満たせば経費として控除を受けることができます。

 交通事故の損害賠償の場面では、専従者給与を控除すれば、申告所得は0に近かったり、金額が極めて小さかったりするなどから、休業損害の基礎収入に算入できないかが問題になります。

2 就労や給料支払いの実態がない場合にどう扱うか

 就労や支払いの実態がない場合には、専従者給与は交通事故にあった自営業者である被害者の基礎収入に算入すべきであると考えられます。税務申告上経費にされていても、その実態が、事業に関わらず給料も支払いがされていなければ、専従者給与分は実質的に交通事故の被害者の収入であるからです。

(1) 東京地裁平成24年7月18日判決(交民45巻4号846頁)

 東京地裁平成24年7月18日判決では、専従者給与分は固定費として基礎収入に算入すべきと原告は主張した事案です。上記東京地裁判決は基礎収入に算入することは認め、専従者が確定申告書上は事務に従事していたとされているが、本件事故当時81歳であったこと、原告が一人で音響機器の設計・製造・販売を行っていたことが認められるなどからすれば、専従者給与50万円は、固定費というよりも,原告自身の収入として評価するのが相当であるとしました。

(2) 大阪地裁平成5年1月12日判決(交民26巻1号17頁)

 大阪地裁平成5年1月12日判決は、交通事故の被害者が道路舗装の切断工事に従事中に衝突され、頭部外傷、頸部捻挫、腰部捻挫、脊椎過敏症(外傷性)、両膝部打撲、後頭神経痛の傷害を受けた事案です。交通事故の被害者が個人で土木工事業を営んでいたことなどから、専従者給与分約82万円を加算して基礎収入を算定しました。

(弁護士中村友彦)

 

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