車両保険で保険金を支払ってくれない場合

  交通事故には様々な類型があります。一般的には、加害者がいますので、加害者が加入する保険会社に対し請求することになります。その際、交通事故の被害者が、相手方加入の保険会社と揉める等して、交通事故紛争処理センターや訴訟などで解決という方法がとられるということもあります。

 しかし、保険会社と揉めるというのは、加害者加入の保険会社とだけではありません。交通事故は、加害者がいない類型(自損事故)もありますし、過失割合等の事情によっては、交通事故の被害者が加入している保険会社に請求することもあり、このときに保険会社と揉めることがあります。交通事故の被害者が、自分のところで加入している保険会社と揉めることでよく相談を受けるものの一つに車両保険があります。

1 車両保険

 車両保険は、自分の所有している車両が損傷を受けた場合に、その修理費等を補償してもらう保険です。ただ、車両保険の具体的な内容は、個別の保険や保険会社によって大きく異なります。保険料が高くなりますが、車や物との衝突・接触(自損事故を含む)、物の落下・飛来、盗難、いたずら、浸水、火災などによる損害などの大半をカバーすることもできます。一般的に車両保険を使用すると等級が上がりますが、過失がない場合には保険料が上がらないといった特約を付けることもでき、様々です。

2 保険会社が車両保険を払ってくれない

 自分のところの保険ですが、保険会社が車両保険金を支払ってくれないことがあります。加害者が被害者と知り合いである、事故車両が外車等の高級車である、直近で車両保険を加入しており事故歴が多いなどの事情がある、警察に届けていない等の場合です。保険会社としては、モラル事案(詐欺等)として、弁護士をつけて支払いを拒否してくることが多いです。

  

3 車両保険金を払ってくれない場合どうするか

 そんぽADRセンターといった裁判外の紛争解決手続きを利用することも考えられますが、それでも保険会社が支払ってくれないこともあります。通常の場合、訴訟による解決を選択せざるをえないでしょう。

4 訴訟を行った場合の弁護士費用の一部を保険会社に負担させることができるか

 交通事故で加害者がいる場合に、弁護士費用が出る保険として弁護士費用特約がありますが、弁護士用特約は交通事故の被害者が加入している保険会社を訴える場合は対象外です。また、交通事故で加害者に対し損害賠償訴訟を行う場合には、判決までいけば損害の1割が弁護士費用として認定されます。しかし、車両保険金の請求は、契約にしたがった請求ですから、弁護士費用を請求する根拠に欠けます。不法行為や債務不履行で請求せざるをえないですが、ほぼ認められることはありません。車両保険金の遅延損害金は年6パーセントになりますが、遅延損害金は通常少額ですし、保険会社の対応で訴訟せざるをえないのですから、おかしい気がします。

(1)弁護士費用を認めなかった裁判例

 東京地方裁判所平成19年7月12日判決(平成17年(ワ)9428号)は、盗難事故が発生したとして車両保険金の支払を請求したところ、保険会社が保険金の支払を不当に拒絶し、訴訟において偽装盗難事故である旨主張し原告の名誉を毀損したこと等が不法行為及び保険契約の債務不履行に該当するとして、不法行為ないし債務不履行に基づいて損害賠償請求をした事案です。上記東京地裁は、車両保険金の請求は認めましたが、不法行為ないい債務不履行の存在を認めず、弁護士費等を否定しました。

(2)弁護士費用を認めた裁判例

 東京地方裁判所平成19年4月10日判決(平成17(ワ)7834号・平成18年(ワ)22475号)は、車両が盗難にあったので、車両保険金を請求したところ、保険会社が支払いを拒絶したために、車両保険金を訴訟で請求するとともに、慰謝料180万円と弁護士費用20万円を保険金不払いを理由として不法行為に基づいて請求した事案です。上記東京地裁は、不法行為を認めた上で請求額である弁護士費用20万円を損害として認めました。

5 保険会社に慰謝料を支払わせることができるか。

 正当に保険金を請求しているにもかかわらず、保険会社から詐欺のように扱われたことで、保険会社に対し慰謝料を支払ってもらいたいと考える人は多いです。しかし、これまで多くの保険金請求事件で、保険会社の対応が不法行為として慰謝料請求がされていますが認められていません。上記東京地方裁判所平成19年4月10日判決(平成17(ワ)7834号・平成18年(ワ)22475号)は、慰謝料請求がされた事案ですが、不法行為の成立を認めたうえで、保険金請求者が訴訟活動のために少なからぬ時間と労力を要したことを認定し、50万円を認めたものがあるぐらいです(但し、「慰謝料」としてとは明言していません)。

(弁護士中村友彦)

 

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