幼少の未成年の子が自転車で交通事故を起こした場合に親はどのような責任を負うか

 未成年の子が、自動車や自転車を運転中に交通事故を起こした場合、通常、交通事故を起こした子供だけでなく、その親の責任も問題となります。最近でも、ニュースで話題になったと思いますが、神戸地裁で自転車の交通事故を起こした子供の親が、監督不十分として9500万円の損害賠償責任が認められています。 

1 監督者責任 

        民法712条は、子供が年少者である場合、責任能力がないとして子供自身が損害賠償責任を負うのを否定しています。しかし、被害者がまったく 何の賠償も受けられないようでは、被害者が救済されないことになってしまいます。そこで、民法714条は、親権者などに監督義務を負わせ、それに違反したとして損害賠償義務を負担させることにしています。親権者等は、監督義務に違反していなかったことを立証できれば、責任を免れますが、通常、この立証をするのは困難です。

      責任能力とは、自己の行為の結果どのような法的責任が発生するかを認識する能力であり、概ね12歳前後が責任能力の有無の境目とされています。責任能力があるとして、民法714条の監督者責任を免れても、親権者である親等は別の法的責任が問題となります。

2 大阪地裁平成5年12月7日判決(交民26巻6号1490号) 

    大阪地裁平成5年12月7日判決は、当時11歳の児童が交差点を自転車で走行中、同交差点を歩いていた原告と衝突した事故について、原告が負傷したとして、原告が児童の両親に対し、民法714条に基づく損害賠償を請求した事案です。上記大阪地裁は、交通事故現場は、住宅街にある幅員の狭い道路が交差した左右の見通しの悪い交差点であるから、児童が自転車で同交差点を通過する際には、歩行者の有無、動静に十分注意して進行すべきであったにもかかわらず、右注意が不十分なままで同交差点を通過しようとしたため、右方道路から本件交差点に向かって歩行してきた原告と衝突したもので、交通事故発生について、原告には、前方注視を十分に尽くさなかった落ち度があったというべきであるとしました。そのうえで、交通事故当時、児童が11歳7ヶ月であったことからすると、児童の親権者である両親は、民714条に基づき、交通事故による損害92万3000円及び遅延損害金を賠償する責任があると解するのが相当であるとしました。 

 

 児童が自動車事故を起こすのは極めて稀ですが、自転車事故はよくあることです。自転車事故であったとしても、被害者に残った後遺障害の程度によっては、損害賠償の額が莫大なものになる可能性がありますので、保険はしっかり加入しておく方が無難でしょう。 (弁護士中村友彦)

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