外傷性頸部症候群(むち打ち症)2

交通事故などで頭部を受傷した結果、長期間にわたって頚部痛、肩こり、頭痛、めまいなどの様々な症状がでることです。交通事故では、この症状について争われ、後遺障害の認定などで問題となることが多いです。 

1 むち打ち症・むち打ち損傷と呼ばれる由来

  むち打ち症は、もともとは第一次世界大戦において、戦闘機が離陸するときの加速度により、パイロットの頭がむち打ったように過屈曲、過伸展を引き起こして頸部を損傷したことに由来します。そして、日本では自動車の保有台数が増えるにつれ、交通事故が増加し、追突事故の場合、頸椎が急激に過伸展したあと、過屈曲した結果、生理的範囲を超えた運動が強制されて損傷し、様々な症状が出ることをむち打ち症と言うようになりました(正面衝突の交通事故の場合、過屈曲した後、過伸展します)。 

2 医師の診断名 

交通事故を契機として負ったむち打ち症は、正確な名称ではありませんので臨床では使用されません。

外傷性頸部症候群、頸椎捻挫、頸部捻挫等の診断名が使用されることが多いです。   

3 外傷性頸部症候群に関する交通事故の最高裁判例 

  最高裁昭和63年4月21日判決(民集 42巻4号243頁)は、「外傷性頭頸部症候群とは、追突等によるむち打ち機転によって頭頸部に損傷を受けた患者が示す症状の総称であり、その病状は、身体的原因によって起こるばかりでなく、外傷を受けたという体験によりさまざまな精神症状を示し、患者の性格、家庭的、社会的、経済的条件、医師の言動等によっても影響を受け、ことに交通事故や労働災害事故等に遭遇した場合に、その事故の責任が他人にあり損害賠償の請求をする権利があるときには、加害者に対する不満等が原因となって症状をますます複雑にし、治癒を遷延させる例も多く、衝撃の程度が軽度で損傷が頸部軟部組織(筋肉、靱帯、自律神経など)にとどまっている場合には、入院安静を要するとしても長期間にわたる必要はなく、その後は多少の自覚症状があっても日常生活に復帰させたうえ適切な治療を施せば、ほとんど一か月以内、長くとも二、三か月以内に通常の生活に戻ることができるのが一般的である」としています。この判決からは、外傷性頸部症候群の場合、3ヶ月以上の治療期間等が制限される可能性が読み取れます。しかし、この最高裁判決は、20年以上も前のものであり、医学が進歩した現在でもこの最高裁判例が妥当するかは疑問です。(弁護士中村友彦)

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